迷宮階段
 香は私と腕を組んで歩き出す。
 チラリと麻衣へ視線を向けると、麻衣は一番最後尾を大人しくついてくる。

 まるで今までの麻衣じゃないみたいだ。別人のようにおとなしい。
 それを見ていると、やっぱり麻衣の人気は父親の存在が大きかったのだと理解できた。

 休日の度に一万円もくれる父親だ。子供の気が大きくなっても当然のことかもしれない。
 それから私達はゲームセンターへ向かって散々遊んだ。好きなキャラクターのぬいぐるみは三種類全部制覇できたし、大満足だ。

「真美ってUFOキャッチャー上手なんだね!」
「今度私にもやり方教えてね」

「もちろん、いいよ」
 友人らの分までゲーム代を支払ってあげたけれど、まだまだお金には余裕がある。

 今度はどこへ行こうかな。そう思いながらスマホで時間を確認してみると、午後五時半を過ぎたところだった。
< 86 / 164 >

この作品をシェア

pagetop