迷宮階段
私はその場に立たされたまま黙り込んでしまった。
「榊原さんだけじゃありません。八木弘志くん」
名前を呼ばれた八木弘志がのろのろと立ち上がる。
身長は一七五センチ以上あって、体重は三桁あるという弘志は立ち上がるだけで大変そうだ。額には脂ぎった汗が浮かんでいて、つい顔をそむけてしまう。
「八木くんも最近宿題忘れが多いですよ」
「はい。僕はゲームが忙しくてできていません」
弘志の返答に教室内がどっと笑いに包まれた。
弘志はなぜ笑われているのかわからない様子で、小さな目をキョトンとさせている。
手の甲でひっきりなしに額の汗を拭うけれど、それでもすぐに浮かんでくる。その様子を見ているだけで私は気分が悪くなってきた。
実はこの男、私の近所に暮らしているのだ。小学生の頃までは地区の行事に一緒に参加していたし、登下校も同じだった。
「榊原さんだけじゃありません。八木弘志くん」
名前を呼ばれた八木弘志がのろのろと立ち上がる。
身長は一七五センチ以上あって、体重は三桁あるという弘志は立ち上がるだけで大変そうだ。額には脂ぎった汗が浮かんでいて、つい顔をそむけてしまう。
「八木くんも最近宿題忘れが多いですよ」
「はい。僕はゲームが忙しくてできていません」
弘志の返答に教室内がどっと笑いに包まれた。
弘志はなぜ笑われているのかわからない様子で、小さな目をキョトンとさせている。
手の甲でひっきりなしに額の汗を拭うけれど、それでもすぐに浮かんでくる。その様子を見ているだけで私は気分が悪くなってきた。
実はこの男、私の近所に暮らしているのだ。小学生の頃までは地区の行事に一緒に参加していたし、登下校も同じだった。