迷宮階段
 中学に上がってからそれほど接点はなくなったけれど、隠しておきたいことだった。
「そういえば真美って、弘志くんと家が近いんだったよね?」

 その言葉に振り向くと麻衣がこちらを見ていた。口元には笑みを浮かべている。
「え、そうなの!?」

 続いて香と涼子が驚きの声を上げる。
 なんで麻衣がそれを知ってるの……!? 思わず出かかった言葉を飲み込んで麻衣を睨みつける。

 麻衣は勝誇ったような笑みを浮かべている。
 わざとだ。どこからか私と弘志の情報を手に入れて、それを暴露する機会を伺っていたに決まってる!!

 私はまた歯ぎしりをする。やっぱり麻衣はとっておけない。どうにかしなきゃ!今日の放課後にでもまた交換階段へ行って……。
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