迷宮階段
 そう思案していたところに、担任の声がかぶさってきた。
「あらそうなの。じゃあ丁度いいわね。ふたりとも今日は居残りして宿題を提出してください」

「嘘でしょ!?」
 思わず声が出てしまった。弘志と二人きりで居残りなんて考えられない。
 そんなことになったら、麻衣がどんな嫌味を言ってくるか……!

「宿題を忘れたあなたが悪いんです。いいですか? 宿題を提出してから帰りなさい」
 矢沢先生は有無も言わさぬ迫力でそう言ったのだった。
< 98 / 164 >

この作品をシェア

pagetop