迷宮階段
☆☆☆

 こんなことになるなんて、本当に最悪だ。
 次々と生徒たちが帰宅する中、私と弘志は教室に残って今まで未提出になっている宿題をやらされていた。

 香と涼子は先に帰ることを申し訳なさそうにしていたけれど、こればかりはどうしようもない。
 試しにプリントの一問目を見てみるけれど、よくわからない。

 最近は遊んでばかりで家でもマンガやゲームをして過ごしていたから、勉強についていくことができなくなっているのだ。
 黒板の上の時計に視線を向けると、時刻は四時過ぎを差している。このまま勉強しているととても四時四十四分には間に合わないだろう。

 けれど、これを提出しないと帰れない。私は頭を抱えて問題を見つめた。
 ふと、後ろの方の席に座っている弘志へ視線を向ける。

 弘志も一応は問題に向かっているけれど、その手は少しも動いていなかった。
「ねぇ、問題わかる?」
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