《番外編》妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました
「百瀬……くん……」

 ギュッと抱き締め返してくる亜夢が、たまらなく愛おしい。

 自分の事は後回しで、常に他人を優先する優しい亜夢。

 こういう時くらい、自分を優先して欲しい。

 俺にはもっと沢山甘えて欲しいのに、なかなか頼ってくれない事が、酷くもどかしい。

「亜夢、こういう時はもっと我儘言っていいんだよ? もっと沢山、俺を頼ってよ。ね?」

 そう願う俺の思いが通じたのか亜夢は、

「……百瀬くん……傍に、居て? 手、握ってて……欲しい」

 途切れ途切れにして欲しい事を口にしてくれた。

「うん、分かった。とりあえず、横になろう」

 抱き締めていた身体を離して亜夢をベッドに寝かせると、おずおずと差し出して来た彼女の手をしっかり握る。

「お昼遅かったし、まだご飯は食べられないよね?」
「うん」
「それじゃ、もう少し眠るといいよ」
「……帰らない?」
「うん、帰らない。ここに居るから安心して」
「……ありがと」

 俺の言葉と繋いだ手の温もりに安心したのか、すぐに寝息を立てて眠りについた亜夢の髪を優しく撫でた俺は、眠る亜夢の唇をこっそり口付けていた。


 そして、翌朝。

 看病の甲斐あって亜夢の熱は37度前半まで下がり、顔色もだいぶ良くなって一安心する。
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