《番外編》妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました
 それから薬を飲ませて後片付けをした俺が再び亜夢の様子を見に行くと、薬が効いてきたのかぐっすり眠っているので起こさないよう一旦自分の部屋へ戻り、帰宅後そのままにしていた荷物を片付けてひと息吐いていると、いつの間にかソファーで眠ってしまっていた。

「……ん」

 目を覚ますと、陽が落ちていたせいで室内は真っ暗に近い状態だった。

「やべっ、寝てた!」

 寝起きで一番に思い出したのは亜夢の事。

 俺は部屋の鍵だけを手にして一目散に隣の亜夢の部屋へ急ぐ。

 部屋へ入ると俺の部屋同様真っ暗な室内。

 電気のスイッチを押して部屋を灯して寝室へ入ると、身体を起こし、ベッドの上で今にも泣き出しそうな亜夢の姿があった。

「亜夢、どうしたの? どこか痛いの?」
「ううん、違うの……。目が覚めて、真っ暗で……、百瀬くんを呼んでも、返事が無くて、私……」

 人間風邪をひくと、不安になるというか、心細くなるものだ。

 特にひとり暮らしをすると、それを痛感する。

 亜夢は不安だったんだ、目を覚まして、誰も居ないこの部屋に一人で居る事が。

 俺が眠ってしまったばっかりに、亜夢を不安にさせた。

「ごめんね、亜夢。もう大丈夫だから、今日はもう、ずっと傍に居るから。ね?」

 これ以上不安にさせないよう、ベッドに腰掛けた俺はギュッと亜夢の身体を抱きしめて髪を撫でた。
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