ー僕たちは、それでも君を愛したー


まだ夏の暑さが抜けきらない九月中旬。


テレビから流れてくるアナウンサーの声を聞きながら、母が焼いてくれた朝食の食パンをひとくち。

呑気に食べる私とは裏腹に、ニュースを見た両親は不安そうだ。

「また被害者が出たのねぇ」

「結構近くに来てるな。○○市って言ったら隣じゃないか」

「そうね。学校から『出来るだけ車で送り迎えを…』ってメールが来てたから、しばらくは私がついてるわ」

「あぁ、それがいいな。本当は俺が送って行ければ良かったんだが…」

「いいのよ。あなたの会社は真逆なんだから」
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