ー僕たちは、それでも君を愛したー
隣の席の子は先生に見つからないよう一生懸命、起こそうとするが、なかなか起きない。
周りはそれをクスクス笑いながら見守って、そんな生徒たちに先生が気づかないはずもなく。
黒板にチョークを滑らせていた手を止めて、先生が生徒の方へ振り返る。
そして、不自然に教科書が立てられた席へ向かい、持っていたノートでポンと軽く背中を叩く。
「○○さーん、起きてくださーい。朝ですよー」
容赦なく耳元で、それなりの声量で言われてようやく居眠りから目覚めた。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
トドメに先生がそう声を掛けると、眠け眼だったその子の目が見開かれ、
急いで席を立って、ビシッと背筋を伸ばし、敬礼の姿勢で「はい!ぐっすり眠っておりました!!」と白状する。