溺れるように愛して
とりあえず片付けられそうなものは元の位置に戻して行く。

汚部屋へとなりつつあるけど、なんというか、普段とは少し違う散らかり方をしている。


どこかしら、中途半端なのだ。洗濯物も畳みかけのとそうじゃないのがあったり、冷蔵庫にしまい忘れたであろうアイスだったり。もちろん速攻で捨てたけど。


なんだか、彼らしくない散らかり方をしているせいか、疑問に思うところが点々としている。

雑誌が散らばってるとか、ぬいぐるみが散乱してるとか、あとはゴミの日に出し忘れた袋の山が置いてあるとか、普段はそんなものなのに。


これが気のせいなのか何のなのか分からないけど、どうしてだか引っかかってしまう。




「はい、新しいお水と、一応市販だけど風邪薬。でも酷いようならこれは飲まないで病院行って。そこで処方されたもの飲んだ方がいいと思う。あと、ゼリーとかゼリーとかゼリーとか、そんなものぐらいは買ってあるから」

「……本当にゼリーオンリーだ」


近くの薬局で買ってきたビニール袋をそのまま渡せば彼は少しげんなりとした顔を見せた。
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