溺れるように愛して
そして開口一番に告げたことは、


「まぁ、そうなるんだろうね」


といった、変に納得をするような感想だった。



「……そう、なるの?」
「天音がよく聞くでしょ。本の世界ではどう?って。だから聞かれる前に言ってみたのよ。今のこの状況、よく読む本の世界だったらどうかなって」


確かによく彼女には質問していた。

いよいよ男心が分からないからと、現実ではなく空想上の男性について彼女に聞いてみたこともあった。


「自分でも分かってるじゃん。邪魔者だって。十分に自分の立ち位置理解してるってことでしょ」
「……してる、けど」
「けど、納得がいかない。恋なんてしなきゃ良かったとさえ思う始末。大いに矛盾ね」


正論だ。

邪魔者だと分かっていながら、それには納得出来ていない自分がいる。

どこかできっと、夏目くんには選んでもらえると思っていた。自惚れていたのだ。こんなどうしようもない自分を選らんでもらえると。
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