溺れるように愛して
「……どう思ってるの?わたしのこと……夏目くんにとってわたしって」


それでも聞かなければ。曖昧でグレーな関係に終止符を打たなきゃ。

わたしたちは進んでいけない。



「――……好きだよ。花咲さんのこと。ずっと」



なんの躊躇いもなく、今までのように誤魔化す訳でもなく、彼はわたしをしっかりと捉えるように眼差しを向けた。

その一言がゆっくりと、じんわりと、染み込んでいく。


「……っ」
「泣いてんの?」
「……泣いてない」


目頭が熱くなって、鼻がツンとして、浅くなってた呼吸が深くなって。

靄がかかっていた心に光が一本差し込んでいくような感覚。


「もう、そっちにいってもいい?」
「……だめ、今は」
「まぁ行くんだけど」


ベッドの軋む音。床を踏む足音。静まった温かい空気。
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