溺れるように愛して
何になりたいのか、分からなかったわたしが今思うのは、きっと彼のそばにいることが当たり前の未来がほしかった。

彼女になりたい、でも敵わない相手を前に怖気づいて、情けなくなって。

それでも彼が好きで、嫌いになれなくて、自分の感情をコントロール出来なくて。

あの時、何をすれば正解だったのか、そんな分岐点が山ほどあるけれど、結果的に望んでいた未来が、展開が、わたしの話には訪れてくれた。


「俺だけでいっぱいになってよ。多分俺、花咲さんの事、独占しかしないから」


――ああ、どれだけ彼に溺れていけばいいのだろう。

それに応えるように力強く彼の背中に手をまわした。


もう二度と、彼と離れないように。
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