溺れるように愛して
「ねぇ朝日ぃ」

「うるさい」

「だってさぁ」


いつも通りの朝。いつも通りの時間。いつも通りの彼。唯一違う点は、例の幼馴染と一緒だということ。

ちらり、と。ほんの一瞬合った視線は、あの幼馴染によって遮られてしまった。


「前みたいに一緒に登校しようよ」

「しないって。そもそも学校違うし」

「えー。でもバス停ひとつしか違わないよ」


私の前は二人の指定席になりつつあって、嫌でもその後ろ姿が目に入る。音量は今日もほどほどに上げていくが、それでも気になって聞いてしまう。


「確かに朝陽引っ越したけど駅隣りだし、朝の電車が違うだけでバス停では会うんだから」

「前だって、穂乃花がついてきてただけだろ」

「家近いし?幼馴染だし?朝ぐらいしか会えないし?」

「幼馴染離れしてくれ」

「つめたい!いいじゃん」

「俺が断ったってこうして時間合わせてくんじゃん」

「別に合わせてるつもりじゃないけどぉ」

「うそつけ」
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