溺れるように愛して
「夏目先輩が好きです。付き合ってください」
そんなありきたりな告白にまさか出くわすなんて思ってもいなかった昼休み。
「ちょっとトイレ」と紗子に告げてからの1分後。トイレ横の階段踊り場から聞こえてきたその台詞に思わず足が止まった。
こっそりと隠れるようにしては、ちょこんと顔を出す。
目をぎゅっと瞑り、拳を作るその姿は、全身に力が入っているように見える。おまけに顔は真っ赤。素朴な印象を受ける彼女の上履きは黄色。一年生を表すカラー。
その彼女の前には階段をおりる途中だったのが、一段下がった例の彼の姿。
告白という青春真っ只中の最大イベントに、彼はこの場に似つかわしくない焼きそばを口いっぱいに頬張っていた。
「……え、ごめん。今の俺に言う?」
「すみません……先輩、いつも誰かといるので……今一人なのを見て思わず」
もぐもぐ、と。咀嚼する彼と、頬を紅潮させて彼女ではいまいちミスマッチ。
そんなありきたりな告白にまさか出くわすなんて思ってもいなかった昼休み。
「ちょっとトイレ」と紗子に告げてからの1分後。トイレ横の階段踊り場から聞こえてきたその台詞に思わず足が止まった。
こっそりと隠れるようにしては、ちょこんと顔を出す。
目をぎゅっと瞑り、拳を作るその姿は、全身に力が入っているように見える。おまけに顔は真っ赤。素朴な印象を受ける彼女の上履きは黄色。一年生を表すカラー。
その彼女の前には階段をおりる途中だったのが、一段下がった例の彼の姿。
告白という青春真っ只中の最大イベントに、彼はこの場に似つかわしくない焼きそばを口いっぱいに頬張っていた。
「……え、ごめん。今の俺に言う?」
「すみません……先輩、いつも誰かといるので……今一人なのを見て思わず」
もぐもぐ、と。咀嚼する彼と、頬を紅潮させて彼女ではいまいちミスマッチ。