溺れるように愛して
ボロが出るように剝がれていくのを、不自然極まりない態度で返すしかない。
それでも彼女は見過ごすと決めこみ、溜息はつくものの根掘り葉掘り聞いてはこない。
「とりあえず、その好きな人が出てきたことによって、川瀬くんに集中出来なかったわけだ」
「……その通りです」
「思うツボね」
「え?」
ぴしゃり、と。
言い当てられるかのように下された判決に思わず腑抜けた声が漏れていった。
「その人の思うツボじゃない。きっと、バス停で別れていたとしても天音はその好きな人のことを考えていただろうけど、傷はまだ浅かったんじゃない?それが、川瀬くんと一緒にいるところを見られて、おまけに電車で途中まで行って、なんて。そんなの自分の存在を濃く残しておきたかったに決まってるでしょ」
「……それって」
「見えないマーキング、みたいな」
「わぁ……お」
脳内に残された彼の存在は確かに消えることはなく、そこに縛られているみたいだった。
それでも彼女は見過ごすと決めこみ、溜息はつくものの根掘り葉掘り聞いてはこない。
「とりあえず、その好きな人が出てきたことによって、川瀬くんに集中出来なかったわけだ」
「……その通りです」
「思うツボね」
「え?」
ぴしゃり、と。
言い当てられるかのように下された判決に思わず腑抜けた声が漏れていった。
「その人の思うツボじゃない。きっと、バス停で別れていたとしても天音はその好きな人のことを考えていただろうけど、傷はまだ浅かったんじゃない?それが、川瀬くんと一緒にいるところを見られて、おまけに電車で途中まで行って、なんて。そんなの自分の存在を濃く残しておきたかったに決まってるでしょ」
「……それって」
「見えないマーキング、みたいな」
「わぁ……お」
脳内に残された彼の存在は確かに消えることはなく、そこに縛られているみたいだった。