溺れるように愛して
「……わたし、川瀬くんが思ってるような人じゃないと思うよ」
「俺が思ってるような花咲って?」
「……学校でのわたし、なら」


綺麗じゃない。純粋に。別に夏目くんに汚されてるなんて話でもないけど、真っ直ぐに何事にもぶつかる川瀬くんには悪いと思った。

そんなわたしを、川瀬くんは「そんなもん」だと言った。


「みんな、そんなもんだよ。学校で見る顔なんてその人の一部にしか過ぎなくて。でも、人ってそんなもんだから。見えない面がたくさんあって当たり前でしょ」


それは、遠回しにどんなわたしでも受け止めると言ってくれているような気がして。

「そっか」としか返せなかった。そんな言葉しかついて出てこなかった。


あまりにも眩しくて、温かくて、わたしは彼が直視出来なかった。
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