溺れるように愛して
―――
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グラウンドで持久走をやると聞かされた時、嘘をついた罰なのか本当にお腹がキリキリと痛んで、しばらくトイレから出られなかった。

前日も腹痛を理由で休んでいることもあり、二つ返事で見学を許可され、グラウンド横の木陰で待機することとなった。


「で?門松さんは走らないの?」
「そうね。走らないってわたしの足が言ってる」
「……ふーん」


そして隣りには、わたしと同じように見学を希望した門松紗子の姿がある。

彼女がどんな理由で見学を許可されたのかは不明だが「まぁ日頃の行いがいいから」と自分で自分を称賛していた。


真冬の中、何週も走るクラスメイトを見て「しんどそう」と何回思ったことか。

その度に罪悪感が募るばかりで、けれどもキリキリとした痛みは微弱ながら続いているので、どうしようもない。



「ねぇ天音」
「ん?」
「あんたから言わないからこっちから聞くけどさ」
「え、なに」
「川瀬くんに告白されたんだって?」


ピーっと笛の音で、一回目の持久走を終えた生徒達がどさーと滑りこむ姿を横目に、わたしは「え」と驚きを表した。
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