月ノ蝶、赤縄を結ぶ
あ、この人見たことある。
「お久しぶりですお嬢。若の補佐をしております、朱雀と申します」
「久しぶり」
「一応一番付き合いが長い奴だよ」
紅くんが補足してくれた。
やっぱり幼少期に紅くんがちょくちょく指示を出していたのはこの人だ。
あと私が登下校しているときに護衛してくれたのも。
懐かしさが込み上げる中、今度は朱雀の隣の人がお辞儀した。
オーソドックスなブラウンの瞳と蛍光オレンジに染めたくせっ毛の人だ。
この中で異様に目立っている。
「えっと、緋呂って言います。幹部の中では一番新参者っす」
「医師免許持ってるから何かあったら頼ったらいいよ」
「分かった」
こんなに目立つ人がお医者さんなんて人は見かけによらないなぁ・・・。
医師には変わった人が多いって聞いたことあるけど、この人は絶対その筆頭だ。