月ノ蝶、赤縄を結ぶ
 そのまま隣の人が挨拶する流れかと思ったけど、今度は左手前の人が視線を合わせてきた。

 黒目黒髪の短髪の人で、この中で一番ガタイがよく、とても強そう。



「・・・臙脂(えんじ)です。よろしくお願いします」



 声はドスがきいてなくて大人しい青年のようなものだった。



「無口だけどいいやつだよ」

「よろしく」



 紅くんが『いいやつ』って言うなら絶対良い人だ。

 たとえ耳にもう開けられるところないんじゃない?って言いたくなるぐらいピアスをつけていたとしても。



「あと蘇芳(すおう)っていうやつも幹部なんだけど今は本部の管理を任せてる」

「へぇ」



 じゃあこれでもう全員かと思ったら、紅くんが臙脂の隣に座る男女2人を指さした。



「あの2人は幹部じゃないけど茜の護衛になってくれる奴らだよ」

撫子(なでしこ)と申します!これから誠心誠意お仕えします!!」

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