月ノ蝶、赤縄を結ぶ

「分かった。楽しみにしとく」



 水族館に行けるのは嬉しいけど、それまではまたお留守番かぁとしょんぼりする。

 そんな私を見かねたのか、紅くんにソファに押し倒された。



「え、紅くん」

「ん?」

「今するの?」

「うん、寂しそうだから。でも嫌ならしないよ」



 寂しそうだからってキスするものなのかな。

 ただ、嫌かって聞かれたら・・・。



「・・・やじゃない」

「茜は素直で可愛いね」



 私の回答に満足した紅くんは耳元で囁いた。


 最近の紅くんはより一段と色気が増した気がする。

 今だってただ囁かれただけなのに、腰が砕けそうになった。

 寝そべっているから気づかれていないと思うけど。
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