月ノ蝶、赤縄を結ぶ


 紅くんは私の首筋を端正な指先でなぞった。

 動作の一つ一つが私を翻弄していく。

 そのまま私の首に顔を埋めた。

 え、キスするんじゃないの・・・?と口に出す前に、首でリップ音が響いた。

 何回かそれを繰り返され、終わったかと思えばぺろっと舐められた。

 くすぐったくて「ひゃっ」という情けない声がもれた。

 恥ずかしい。

 紅くんはクスッと笑い、もう一度口付けをする。

 今度は長く、離れるときにチクッとした。



「紅くん、今の・・・」

「ごめん、痛かった?」

「ちょっとだけ。それより今何したの?」

「キス」

「いやそうじゃなくて・・・」



 何て言えばいいんだろ。

 キスはキスだけどいつもと違った。



「そんなに気になるなら後で鏡で確認してみて」

「分かった」



 紅くんが得意げな顔をしている。

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