月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 幼い私にとってはどれも新鮮でずっと眺めていたいと思った。あと抹茶と和菓子が似合いそうだとも。

 今日のおやつはみたらし団子だった。

 タレが服に落ちないように慎重に口に運ぶ。

 パクリと口に入れると甘さが広がり、頬がゆるむのが分かった。

 1本目を食べ終わって抹茶をこくっと飲んだタイミングで紅くんの方を向いた。

 紅くんは既に2本目を食べ始めていた。

 タレが口につかないように器用に食べている。



「ねぇ紅くん」

「ん?」

「紅くんは何で毎日学校に行かないの?」



 最初の頃はそんなものかと思っていたけれど、時間が経つにつれ疑問に思うようになっていた。

 小学生の私にとって学校に行くのは当たり前の事だったから。

 まぁ私の場合は勉強をしっかりしないといけないからとか先生やお母さんに怒られるからって理由は微塵もなくて、ただ単にお昼ご飯を食べるために行ってたんだけどね。
< 12 / 278 >

この作品をシェア

pagetop