月ノ蝶、赤縄を結ぶ
 銃を構えたんだ。

 相手が劣勢だと感じたのか、急に音がやんだ。


 臨戦態勢のままじりじりと車の方に移動し乗り込んだ。

 そのまま扉を閉め、紅くんが朱雀に「出せ」と指示した。

 車が走り出す。



「な、撫子と長春は?置いてくの?」



 やっとこのことで言葉を紡いだ。



「後で迎えの車を寄越すから問題ないよ。それより茜、大丈夫?」

「・・・・・・ううん」



 今になって恐怖がやってきた。

 震える私を落ち着かせるように、紅くんが抱き締める。


 もしかしたら誰かがあそこで死んでいたかもしれない。

 それが、紅くんだったら─────。



「外に出ようって言ってごめんね」



 外出がこんなに危険だって知らなかった。
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