月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「・・・ヤバい奴をやっつけること、かな」
「ケーサツなの?」
「まぁ似たようなものだよ」
「そっか」
なんだかはぐらかされた気がするけど、言いたくないことは言わなくていいと思う。
のんびりと庭で過ごした後、紅くんの部屋で宿題を終わらせると、日が傾き始めていた。
帰る時間だ。
紅くんは人に見られたらいけないからと、門までしかお見送りできない。
それを寂しく思いつつも、余計な迷惑かけないように「家まで送って!」というワガママは飲み込んだ。
「じゃあね紅くん!また明日〜」
「うん。またね」
紅くんは手を振り返しながら、私が角を曲がるまで見守ってくれた。
「ただいま〜・・・」
形だけの挨拶をして玄関のドアを閉めた。