月ノ蝶、赤縄を結ぶ
 恥ずかしくて顔を背けると、頬にキスを落とされた。



「分かった。じゃあ途中まで」



 囁かれたと同時に耳をかぷっと食まれた。

 そのまま唇と下を使って遊ばれる。

 触れられているのは耳なのに、背筋がゾクゾクするのはなんで。

 流れるような手つきで太ももを撫でられる。

 床は冷たいのに、身体は火照っていく一方だ。



「茜、好き。大好きだよ」



 合間にそう囁きながら、首元に赤い所有印を散らされた。

 それが肩まで移っていく。

 だんだん頭がぽうってしてきた。



「目がとろとろしてて可愛い。もしかして誘ってる?」

「ち、違う・・・!」



 食い気味で否定したのが面白かったのか、紅くんがくすくすと笑い始めた。

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