月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「茜ちゃん愛されてるね〜。あれ、その指輪ももしかして紅が??」
「うん。婚約指輪だよ」
左手の甲を向けじゃーんと見せびらかすと、天ちゃんがおぉーと歓声を上げた。
紅くんに指輪をはめてもらって以来、お風呂を除いてずっと肌身離さず付けている。
微笑ましい空気に耐えかねたのか、蒼くんが大きめの咳払いをした。
「そろそろ本題に入りたいんだが」
「その前に座ったら?」
蒼くんが言い終わる前に、私たちはさっさと椅子に座っていた。
どうやら蒼くんはいじられキャラらしい。
蒼くんが「お前らはマイペースすぎる」と文句をこぼしながら腰を下ろしたところで、紅くんが口を開いた。
「で、答えは決まった?」
「・・・断ると言ったら?」
「冗談でもあまりオススメしないよ」
紅くんの言葉を合図に後ろに控えていた朱雀たちが身構えた。
比較的和やかだった雰囲気が一気に殺伐としたものへと様変わりした。