月ノ蝶、赤縄を結ぶ
今日は陽月同盟としての初顔合わせみたいなもの。
以前「正真正銘紅くんの妻になりたい」と言ったことをちゃんと覚えていてくれたようで、紅くんの方から今日の会議に参加してみたいかと誘ってくれたのだ。
つまり私は月詠会会長兼若頭の婚約者としてここにいる。
時峯島の事情についてはまだまだ勉強が足りないけど、紅くんの世界観を深く理解していくようで苦じゃない。
今だって会話に参加は出来なくても、話にはついていけている。目の前に補足資料だってあるしね。
天ちゃんと目が合うとウインクされた。
私もニコッと笑い返す。
左手の甲に顎を乗せた紅くんの尻目に、日暮組討滅作戦について説明する蘇芳の言葉に耳を傾ける。
その全容を要約すると、月詠会と烏賀陽組がそれぞれ二手に分かれ、日暮組の領地の四方から本邸に向けて攻めていくという至ってシンプルな作戦だ。
それと同時並行で本土にある拠点も北と南から潰していく。
別名【四面楚歌作戦】だと蒼くんが名付けていた。
決行日は11月1日から目的が達成されるまでの無期限。
それまでは各々身体を鍛えたり物資を調達したり休息をとったりして過ごすという。
意見交換しながら作戦をまとめ終わった頃には、とうに日付が変わっていた。