月ノ蝶、赤縄を結ぶ
四面楚歌作戦決行日に向け着々と準備が進められていく。
私はお留守番が決定しているため、他の人と比べたらお気楽な立場だ。
その分みんなの力になろうと鴾と一緒に料理したり、鍛錬で疲れた構成員たちにタオルと飲み物を渡したりした。
初めは「お嬢にそんなことをさせるなんて・・・!」と恐縮そうにしていた彼らも何回か繰り返すうちにすんなり受け取ってくれるようになった。
日が段々と短くなる。
それに伴い11月が近づいてくる。
11月になれば紅くんが日暮組の討滅に行ってしまう。
これが成功すれば紅くんの仕事量もだいぶ減り、私と一緒に過ごす時間も増える。
でも、もし失敗したら・・・─────。
紅くんに限ってそれはないと思っている。
思ってはいても、これはただの希望的観測に過ぎない。
いつどこで何があるのか分からないのが世の常。
だからこそ私は恐れを捨てることができない。
むしろ溜め込んだ分心に深く根付いていく。