月ノ蝶、赤縄を結ぶ
でもこれから討滅に行く紅くんたちの不安を煽るようなことは絶対にしたくない。
だから本当は行って欲しくないなんて、絶対に言わない。
そんな自身と葛藤している内に、ついに前日を迎えた。
明日から紅くんと離れ離れになるということで、今日は長めに2人の時間をとった。
紅くん曰く「茜を充電しとかないとやってられない」とのこと。
紅くんの腕に抱かれながら、可惜夜を過ごす。
私が背中に抱きついたところで、紅くんは静かに告げた。
「茜、大丈夫だよ」
「え?」
紅くんは私の感情の機敏に鋭い。
だから私の不安にとっくに気づいていたんだ。
それでも何も言わなかったのは、私が話すのを待っていたから。
だけど前日になっても私が何も言わないから、遠回しに不安を取り除こうとしてくれてるんだ。
紅くんの自然な優しさが温かい。
私の頭を撫でながら尚も続ける。