月ノ蝶、赤縄を結ぶ
私の中から不安が抽出されたようだった。
そのまま押し倒され、頬や首筋、おでこ、そして唇にキスを落とされる。
ハンカチはサイドテーブルに置かれたのが見えた。
触れるだけのものからすぐに深いものに変わる。
耳を両手で塞がれると水音が脳裏に響いて気持ちいい。
理性ごとグズグズに溶かされていく。
「茜、好きだよ」
耳元で囁かれて身体がゾクッとした。
まるで私が何かを期待してるみたいた。
キスの合間に残った理性で言葉を紡ぐ。
「ん、すき」
「愛してる」
「あいしてる」
紅くんに言われたことをそのまま返すとクスッと笑われた。
「舌足らずで可愛いね」
愛を満ちた声で告げられた。