月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 たしかに紅くんは私が苦しむことを望まない。

 でもだからって天ちゃんの誘いにのっていいか判断しかねる。

 そんな私の迷いを察した天ちゃんが、もう一押しするようにずいっと顔を寄せてきた。



「部屋でじっと帰りを待つことって自分が思ってるよりもずっと気が滅入るんだよ。だからたまには息抜きもしないと!」



 天ちゃんの言う通り、私は毎晩記憶の中の紅くんに縋るぐらい気が滅入っていた。

 運動をしても完全に気が晴れることはなかったから、天ちゃんと出掛けるのもありかもしれない。

 何より万全な状態で紅くんを出迎えてたくさん労りたいしね。



「分かった。一緒にお出かけしよう」

「やったぁ〜」



 私が了承すると天ちゃんは子どものように喜んだ。

 一応6歳年上のはずなのに、それを感じさせなかった。





 天ちゃんがルンルンで私を連れてきたのは、月詠会がバックについているショッピングモールだった。
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