月ノ蝶、赤縄を結ぶ
それどころか私に危険が及ぶ度に自分のことを責めてるんだ。
紅くんに非はないのにね。
「あなたも鈴井雛菜も一緒だね。気持ちに対して見返りを求めたら終わりなんだよ」
紅くんは私に気持ちを伝えることはあっても「『好き』って言って」と懇願されたことはない。
ただただ想ってくれているだけ。
そんな紅くんだから、私は精一杯応えたいって思うの。
ふと鈴木真那に告白されたときを思い出した。
「だから言ったでしょ。あなたは私のことが好きじゃないって」
やっぱり私の"好き"と鈴木真那の"好き"は交わらない。
私の決別とも受け取れる言葉を聞いた鈴木真那は、力なく立ち上がり部屋から出て行った。
私の手首には鈴木真那───もとい鈴井真那の爪痕がくっきりと残っていた。