月ノ蝶、赤縄を結ぶ
早く帰って甘やかしたいな。
ベッドに寝転って茜へ思いを馳せている時だった。
ドンッガンガンガンガンガン
隠れ家の玄関扉が乱暴に叩かれた。
敵襲かと思い、戦闘態勢を整える。
銃を構え勢いよく扉を開けたところにいたのは──茜と一緒にいるはずの天だった。
「紅、ごめん。茜ちゃんが」
「茜が何?」
天はいきなり座り込んで許しを乞うてくる。
「あたしが悪いの。あたしが連れ出さなきゃ、こんなことには!」
「言い訳とかいらないからさっさと話せよ」
自身の保身に走る天に苛立ち低い声が出た。
天はガタガタ震えながら、声を絞り出した。
「茜ちゃんが、鈴井真那に連れ去られたの・・・!!!」
「は?」
意味がわからなかった。
茜が危険にさらされない為に天に茜を頼んだはずなのに、どうしてそうなるんだ。