月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 しかも天の後ろで撫子と長春も頭を下げている。

 ふざけるな。何のための護衛だ。

 何でお前らがのうのうとここに来てんだよ。

 今すぐにでも怒鳴り散らかしたいが、罰を与えるのは後だ。

 それよりも先に茜を助けないと。



「朱雀、後は任せた。撫子と長春は一緒に来い」



 必死に頭を働かせ指示を出す。

 三人は「御意」と返事しそれぞれ動き始める。

 今この場でへたりこんでいるのは天だけだ。

 着いてくるなりここでうずくまっているなり勝手にすればいい。

 俺はもうお前に頼らないから。






 車に乗り込み、状況の整理を始める。

 茜がいなくなったのは今日の午後、月詠が経営しているショッピングモールにて。

 連れ去ったのは鈴井真那。

 他にも援軍がいて、その中に日暮組の幹部が確認されたとのこと。

 拠点が何個も潰されたから、日暮組が強硬手段に出たのか。

 一番の問題は茜が俺への人質として連れ去られたか、それか・・・─────。
< 218 / 278 >

この作品をシェア

pagetop