月ノ蝶、赤縄を結ぶ
ここで四面楚歌作戦が順調に進みすぎていたことを思い出す。
もしかして、予め全て見透かされていた・・・?
だとしたら今、日暮組本邸にいたとしても俺らが到着する頃には雲隠れしているはず。
奴の行動を予測しないと勝ち目はない。
「長春」
「はい」
「時峯家本邸に行先変更だ」
「御意」
茜を献上することで時峯から御加護を貰い、逆に俺らに大打撃を与える気か。
ふざけるのも大概にしろ。
茜は絶対に助け出す。
月詠家本邸に残っていた構成員たちと合流し、時峯家本邸の前に立った。
時峯家本邸のセキュリティは国内トップクラスを誇る。
だがバックドアを作っておけば呆気なく崩れる砂上の楼閣だ。
堂々と正門を潜り侵入するとすぐに警備の者に見つかり乱闘が始まった。
それらを掻い潜った先に、そいつはいた。