月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 私の返事に気分を良くした時峯藤治がうんうんと頷く。



「そうかそうか。なら、今日からここに住むといい」

「は?」



 地を這うような低い声が紅くんから放たれた。

 絶対に私を話さないと言わんばかりにギュッと抱きしめてくる。



「何をそんなに怒っておる?茜は未成年なんじゃから保護者と暮らすのは当然のことじゃろう」



 時峯藤治の言い分は一理ある。

 でもだからって急に決められても困る。



「いつ保護者になったんだよ」

「茜が『いいよ』と言ったときからじゃ」



 えっ・・・?そんな意味が含まれているなんて聞いてない。

 ただ苗字が変わるだけだと思っていた。

 でも冷静に考えれば時峯藤治がそれだけで満足するはずがない。

 これは深く考えずに了承した私の落ち度だ。
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