月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「ほら茜もびっくりしてるよ。保護者として認められてないんじゃない?」
「いい加減にしろ、月詠。お前のその飄々とした態度を咎めないのは茜のおかげだということを忘れるな」
時峯藤治が低く唸ったと同時に、壁側に控えていた護衛たちが臨戦態勢に入った。
前に紅くんが蒼くんにした脅しと似ている。
ここが時峯島の最高権力者の御前か。
対してこちらは紅くんと私のみ。
一応朱雀と数名の構成員も一緒に来ているけれど、今は別室で待機している。
いくら紅くんが強いと言っても、ここはホームじゃない。分が悪すぎる。
このまま時峯藤治に逆らうのは得策じゃない。
でも紅くんは私を守るためなら迷わず反抗するだろう。
それこそ月詠を売り渡すことになろうとも。
それはダメ。
私を理由に余計な苦労をして欲しくない。
お荷物にだけは絶対にならない。
そうさせない為にもここは私が対処しないと。
「・・・ねぇ」
「なんじゃ茜」