月ノ蝶、赤縄を結ぶ

「もし私が時峯邸に住むことになっても、紅くんと結婚したらお家に帰ってもいいんだよね?」

「あぁ、結婚したらな。それまでは許さん」



 良かった。紅くんに婿養子に入れとか言い出したら手の付けようがなかった。



「じゃあ紅くんとはどれくらいの頻度で会えるようになるの?」

「年一じゃな」

「嫌。週一」

「ならん。月一」

「分かった、月一ね」



 不穏な空気を悟った紅くんが心配そうに私の顔を覗き込む。



「茜・・・?」



 真黒い瞳が不安に揺れている。

 私が何を言うのかちゃんと分かってるんだ。

 口が震えるけど、私の環境ががらりと変わるけど、言わないと。



「紅くん、私ここに住む」



 精一杯の決意を綴った。



「私も紅くんを守れるようになりたいの」



 今回紅くんたちは日暮千歳に遅れをとった。
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