月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 紅くんは私がいない方を向いちゃった。

「おやすみ」って言ったけど正直に言うと眠たくない。

 まだ21時になったばかりだ。

 子どもは寝る時間らしいけど、私はそんなこと教えてくれる大人はいなかったから寝たいときに寝ていた。

 多分いつも22時過ぎぐらいだと思う。

 しかも今日は紅くんの家にお泊まりしている。

 そう簡単に寝たらもったいない気がしてきた。

 もしかしたら紅くんはもう眠いかもしれないから、小声で話しかける。



「・・・ねぇ紅くん」

「何?」



 よかった。

 紅くんも起きていて、返事をしながら私の方を身体を向けてくれた。



「紅くんと同じふとんでねていい?」

「いいよ。おいで」



 紅くんはあっさりと了承してくれて、布団を持ち上げて私が入れるスペースを作ってくれた。

 そこに枕を持ってお邪魔する。
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