月ノ蝶、赤縄を結ぶ
俗に言う欲求不満。
私はもっと紅くんと・・・いやこれ以上考えるのは辞めておこう。
本格的に目が冴えて眠れなくなる。
そんなこんなで絶えず溜まっていくもやもやを抱えながら、無理やり瞳を閉じ布団に潜り込んだ。
髪を括ったタイミングで襖をノックする音が聞こえた。
「茜様、お迎えにあがりました」
「うん。今いく」
がらりと襖を開けると國光麹が立っていた。
ここ1年この人は私を敬愛する時峯藤治の孫としてそれはそれは丁寧に扱ってきた。紅くんと会うときの監視もこの人だったし。
この調子なら私側に丸め込めるんじゃ・・・?と思い何回か試みたけど上手くいかなかった。
國光麹にとって私は時峯藤治の孫娘以外の何者でもないらしい。
時峯藤治の執務室に通されると、近くに座れと手招きされた。
「もうすぐクリスマスじゃな。何か欲しいものはあるか?」
「んー・・・株かなぁ」