月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 雪に濡れたコートをバサッと脱ぎ、覆い被さるように私を抱きしめた。



「あー落ち着く」



 すん、と首の匂いを嗅がれた。

 くすぐったい。



「んっ」



 声が漏れると紅くんが上目遣いで見つめてきた。

 間近で見る紅くんの美顔は相変わらず破壊力がある。



「もう寝るとこだった?」



 紅くんの胸元に擦り寄るようにこくっと頷いた。

 それから紅くんの背中に腕を回し、耳元で囁く。



「・・・今日は一緒に寝れるの?」

「そうだよ」

「嬉しい」



 えへへと笑うとおでこにキスを落とされた。

 久しぶりの触れ合いに胸がきゅぅってなる。

 紅くんを布団に引き入れると、両腕に閉じ込められた。
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