月ノ蝶、赤縄を結ぶ
もしかしたら私が思うよりずっと前から、紅くんはこうなっていたんじゃないかな。
「紅くん、いいよ」
気づいたときにはそんな言葉が口を衝いて出ていた。
もう引き返せないし、引き返すつもりもない。
「最後まで・・・して?」
身をよじりながら、おねだりする。
「いいの?」
紅くんの瞳が驚きと期待に揺れている。
本当は最後までするのが怖かった。
私にとってそういう行為はお母さんを思い出させるものだったから。
数多の男性と薄っぺらい関係をもつ、お母さんを。
でもね、紅くん。
紅くんといたらそんなの全部くだらなくなったんだ。
それよりも紅くんが大好きで仕方ないの。