月ノ蝶、赤縄を結ぶ
いつもならすぐに抱き締め返してくれるけど、今日は違った。
「ひぁっ紅くん・・・!?」
突然浮遊感がしたと思えば、紅くんにお姫様抱っこされていた。
「急にどうしたの?」
「え?式は終わったでしょ?帰ろ?」
紅くんはキョトンとしている。
確かに後は退場だけだ。
でも私が戸惑っているところはそこじゃなくて・・・!!
「えっと、重くない?」
「全然」
即答された。
紅くんは身動きが取りにくくなるぐらい重いドレスを着ている私を涼しい顔で持ち上げて歩いていく。
背中と脚を支える腕は力強く、もう手放さないという強い意志を感じられた。
不意に目が合うとキスを落とされた。
誓いのキスとは違う、愛情を伝えるためのキス。
私の口紅が移った口で紅くんが弧を描く。