月ノ蝶、赤縄を結ぶ



「ごめん茜。俺のせいだ。俺のせいで茜が巻き込まれた」



 紅くんが震えながら私を抱きしめた。

 何でこれが紅くんのせいになるのか全く分からない。

 悪いのは私をさらった人達だ。

 紅くんはなんでも自分のせいにしたがる。

 前に私を慰めるために紅くんがしてくれたように、私も紅くんの背中をぽんぽんと叩いた。



「紅くん。お家に帰りたい」

「うん。帰ろう」



 紅くんは私を抱き上げた。

 もう震えは止まっていて、私を抱く腕からはもう離さないという力強さを感じた。

 紅くんが出口に向かおうとするのを、寸前で止めた。



「まって。この子たちも助けないと」



 私が指さした先にはさっきの女の子と男の子がいた。

 身を寄せあい、ぶるぶると震えている。



「? 誰?」
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