月ノ蝶、赤縄を結ぶ
「わたしといっしょにつかまってた子。この子たちのおかげでわたしは1人じゃなかったの」
「そっか。じゃあ助けないとね」
紅くんは人差し指をクイッと曲げ、シャテーを呼び寄せ、「保護しておけ」と短い指示をした。
シャテーが2人を助けに行くところを見て、ようやく力が抜けた。
建物を抜け出し、紅くんの家の車に乗り込む。
車が走り出しても紅くんは私を膝の上から降ろそうとはしなかった。
紅くんのそばはいつも温かい。
安心しすぎて、涙が止まらなくなるぐらいに。
「紅くん」
「何?」
「こわかった。本当にこわかったの」
「ごめん」
「でもね、紅くんが助けてくれるってしんじてた」
紅くんの頬を両手で覆い、視線を合わせた。
「助けてありがとう。紅くんが来てくれてうれしかったの。だからもうごめんって言わないで」
紅くんは目を見開いた。