月ノ蝶、赤縄を結ぶ

新月

 昨日はあのまま紅くんの家に泊まった。

 お母さんが男の人の家に泊まる日じゃなかったけど、私がいなくても気づかなかったと思う。

 どうせ酔っ払って帰ってきて、私の存在を確認することなく眠りにつくはずだから。

 ランドセルは紅くんが回収してくれていたみたいで、綺麗な状態で返ってきた。

 中身の確認をしていると紅くんが隣に腰を下ろした。



「茜」

「ん?」

「今日学校行きたい?」

「行きたくないけど行かなきゃ」

「・・・そっか」



 期待していた答えと違ったらしく、目を逸らされた。

 眉毛がいつもよりも微かに下がっている。

 もしかして寂しいのかな?

 それとも昨日私が連れ去られたから不安なのかも。



「やっぱり今日は行かなくていいや」

「いいの?」



 紅くんが目を瞬かせた。
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