月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 私が一体今までどんな気持ちで独りでいたと思っているの?

 ようやく紅くんという特別な存在ができたのに、それを迷惑だって、お母さんが言うの?

 私への弊害を知らない、お母さんが。



「お母さんに言われたくない!!」

「はぁ?」

「お母さんのせいで!わたしは友だちがいないのに!!」



 私の悲痛な叫びを聞いても、お母さんは眉をひそめるだけだった。



「何それ。あんたに友だちがいないのを私のせいにしないでよ」



 あぁ、本当に何も分かってないんだ。

 お母さんへの信頼が一気に崩れ落ちた瞬間だった。

 完全に熱が冷めたお母さんは私の横を通り過ぎ玄関へと向かった。



「もう出かけるから、私がいなくても明日は学校に行きなさいよね」



 それだけを言い残し、出て行った。


 雨が降り出した。


 視界が歪んで前が見えない。とても目を開けていられる状況じゃない。

 まるでダムが決壊したかのような強い雨が、眠りに落ちるまで降り続けた。


 次の日、目が真っ赤に腫れていた。
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