月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 こうしているうちに9月が終わり、あっという間に10月も終わった。

 そして紅くんに会えないまま11月を迎えた。

 日に日に寒くなってきたし日が沈むのも早くなってきたけれど、構うことなく紅くんの家に向かった。



「紅くん今日はお母さんいないから1人なの!お家に入れてくれるまで帰らないからね!!」



 今日こそは!と意気込み宣言した。

 今や門すら開けてくれなくなったけれど、私は諦めない。

 門前払いしただけで私が簡単に諦めると思われちゃ困る。

 そんな生半可は気持ちで私はここに立っていない。

 でも日が暮れて気温が下がるにつれ、心もだんだん冷えていった。


 いつか絶対紅くんはここを開けてくれるという根拠の無い自信が、ぐらぐらと揺らぎ始める。



「ねぇ紅くん。紅くんはわたしのこときらい?」



 気づけば門に向かって問いかけていた。

 もちろん返事はない。
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