月ノ蝶、赤縄を結ぶ

 それでも一度溢れ出したものを止めることは出来なかった。



「わたし、紅くんといっしょにいられるなら、また、こわいことあっても、いいよ」



 紅くんが私と一線を引いたのは、私の安全を守るためだってちゃんと分かってる。

 でも、私はそれを望んでいない。

 私、私はね。



「紅くんがいないのが、一番、イヤだよ」



 風と共に消えてしまいそうなほど弱々しい声だった。



「さびしいよ、紅くん。紅くんがすき。だいすき」



 今全て吐き出してしまわないと、私の小さな胸は寂しさに押し潰れてしまいそうだ。



「わたし、紅くん以外すきじゃないよ」



 紅くんは自分以外にも好きな人はできるって言ったけどね、そんなことないって私が一番分かってるんだよ。



「ほかの子なんてきらい」



 クラスの子たちは私を白い目で見てくるんだ。

 いつも「ビッチの子」だってからかってくるの。
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